オースティンオスマンスペアが考案した
シジルのサンプル資料
シジルのサンプル資料
前に「ケイオスマジック」のお話を書いた際にそのうちシジルマジックの話も~と書いていて、なかなか時間がなくて書けませんでしたが、今回、少し時間に余裕があるので書いていこうと思います。
この「シジルマジック」についても、ネットで調べればかなりの情報量が出てくるので、必要ないかなぁとか思ってましたが、なんというか、めっちゃかみ砕いて説明する人が少ない気がしますし、やたらにいきなり魔術のみ紹介している人も多く、初心者には優しくない気がしましたので書くことにします。
まず、この「シジルマジック」の発端とも言える「シジル」を制作する技法をもっと実践的というか、ちょっと表現が難しいのですが、めちゃくちゃはしょって簡単に言うと「自由にシジル(印章)を作り、己の欲望を具現化する」方法を考え出したのが、アーティストでもあり、のちのケイオスマジックにも影響を与えることになるAustin Osman Spare(オースティン・オスマン・スパー ※スペアとも呼ばれています)です。
とはいえ、このシジル(印章)に関しては、太古の昔から多くの文化において、様々な形で利用されています。
だから決してシジルという存在自体を考案した人ではありません。
一般的に簡単に説明すると、シジル(印章)は神秘的なもしくは魔法的、魔術的、呪術的な意味を持つように作られた任意の字体、図、記号というふうになります。
しかし、古代からもしくは中世から見られるシジルにおいて、どうしてそう作られた、考案されたのか?そしてそのシジルがどうして力を持つのか?という部分において、そもそもしっかりとした説明も無いものが多く、正直、その古代のもしくは中世からのシジルの制作方法を理解しようとしても無理があります。
でも、昔から伝わるので「効果がある!」と昔からのシジルを利用して、信じて疑わないものもいますが、それではそこから基本的に魔術は「進化」せず、また、形式に囚われ、呪文に囚われ、宗教的信仰に囚われてしまい、複雑怪奇な知識も含め、変な事件を起こしたり、一般人との衝突があったり、弾圧されたり、悪い方向にしか行かないことが多いわけです。
そこをぶっ壊しにかかった(というか疑問を持ち、もっとスマートに、誰でも理解しやすくした)のが、A.O.スパー(オースティン・オスマン・スパー)です。
まあ、乱暴な書き方しましたが、要は新しいシジルの作り方とそれを具現化する新しい方法を考案したってことです。
(新しいシジルと書いていますが、それまでのシジルとは別物なのであしからず)。
これが、理解しやすく、誰でも自由にシジル作りができるようになったので、のちに人気が出たわけです。
この方は芸術家でもあるので、スマートにそしてシンプルに、さらに自分の魔術理論を取り入れたシジル作りをしていますので、古典的なラクガキ(笑)のようなシジルでもなく、難解で書くのも大変なシジルでもありません。
もともとの魔術はシャーマニズム的要素が強く、長い修行の果てに精神的活性剤(ラリるという事ですね簡単に言うと)などを駆使して、無意識にシジルを通し呪文を通しそこから魔術的力を引き出し行使する・・・という気が遠くなるような、現代では危険ともされる方法で魔術を行使するわけです。
「シジルを通し」と書きましたが、つまりはシジルにも魔術的効果があるという考え方になるわけです。
しかし、スパーはシジル自体に「力(魔術的効果)」があるわけではなく、どんなシジルを選んでも無意識のうちに操作することができれば魔術的効果を発言できると考えているわけです。
もっとかみ砕きます。
従来の魔術の考え方(シャーマニズム的魔術の発現)は「力こそパワー(笑)」ですw
シジルと呪文に力がある!でもそれを具現化するためには頑張って頑張って頑張ってついでにドーピングしてシジルと呪文の力を必死に掴みながら引き出すんだぜ!という事です。
一方スパーの方は「テクニック」重視な方向性です。
それなりに努力は必要だけど~魔術の根底って宗教的象徴の最たるある種の「情熱(無意識な)」じゃんw
そこを理解し、それらを工夫して引き出せば魔術できるんじゃね?となります。
(めっちゃ簡単に書いてますので、興味がある方は自分で調べてみて自分なりの解釈をもとに魔術に励んでください)。
まあ、どちらもそれなりに時間は必要ですが、シャーマニズム的魔術の発現よりはスパーの魔術理論のほうが合理的なわけです。
とはいえ、スパー自体は古典的な考え方を全否定ではないんです。
ただその方法に疑問と嫌悪感を持っていたわけです。
と、ここに触れ続けると、永遠に終わらない気がしますので、まあ、ここでは簡単に理解していただいて次に進みます。
(なお、あえて他の人があまり書いてないような説明の仕方をしています。というのは、ほとんどの人はシジルマジックの「手軽さ」からか、簡単さを強調しすぎて、あまりにざっくり書きすぎてる節があるからです。もう少し気軽な説明が欲しい方は「シジルマジック」で検索すると大量にヒットしますので、そちらをオススメします)。
さて、ではスパーの「シジルマジック」の考え方を話していきます。
スパーのシジルは、もともとのそれ自体が力を持つシジルではなく「意識と潜在意識」の差を埋めるためのツールとして使用されます。
これを細かく説明してない方が多いので、説明していきます。
たとえば、擬態できる生物はなぜその擬態する能力を得ているのか?
これを聞くとほとんどのに人は「そう進化したから」と答えるでしょう。
これをもっと追及すると「擬態しなければならない重要な、たとえば生命にかかわるような事態があったから」となります。
では、生命の危険があるため真に進化したいと思ったと仮定します。
その思いが有機的に潜在意識に到達した時、それが具現化したから、擬態能力を得た・・・とスパーは考えています。
ですが、これが通常の意識で止まる程度であると、いつまでたってもその願望は成就されない。
人間は意識と潜在意識の間に「壁」を持っています。
スパー的に言えば「精神的な検問」という表現になります。
その「精神的な検問」を突破しなければ潜在意識における「力」を引き出せないわけです。
ここらへんはスパーが「芸術家」だったものを垣間見ることができます。
芸術家はインスピレーションが大事です。
インスピレーションがあるからこそ、この世に「物」が生まれます。
※なおインスピレーションの考え方を簡単に説明すると「潜在意識における創造性の発現」です。潜在意識が創造力を意識に送り動かすことによってこの世に物が生まれます。
ですから、この世になにかを「具現化」するためには潜在意識から生まれた創造力を誕生させなければなりません。
となると、意識から潜在意識にアクセスし、そのインスピレーションを引き出せば、願望も現実に作用すると考えても不思議ではありません。
でも、普通、意識から潜在意識に影響を及ぼすまでに簡単には突破できない「壁」があります。
そこで願望を具現化した「シジル」を触媒に使用し、もっと簡単に潜在意識にアプローチしようと考えたわけです。
まあ、こう書くと「荒唐無稽」な話に聞こえると思います。
だって、潜在意識にアクセスしようとその願望を成就する基軸となる「知識」や「エネルギー」などが最初から存在しなければ具現化すらできないわけです。
そこで「アタビズム」が絡んできます。
アタビズムとは「隔世遺伝」の事です。
スパーは潜在意識と「魂」、そして輪廻転生に視点を置き、それらは人類が誕生し、進化する過程と生まれ変わるたびに蓄積した「知識」「経験」「エネルギー」などは遺伝し、潜在意識に残り続けると考えたようです。
この理論なら突然、だれも考えてないような「インスピレーション」が浮かんでも不思議ではありません。
だが、これだけだとまだ「足りない」のです。
だって、それらはあくまで「インスピレーション」であって、人間たるものできる範囲が決まってるから、大きな願望は実現が不可能なわけです。
でも、その潜在意識にはさらに繋がりがあり(ここからは表現が特に難しいので先に謝っておきます)、それはどこにつながっているかというと「普遍的な精神(キア)」です。
これを「キアイズム」といいますが、スパーはこのキアの事を「自由であるところの絶対的自由は現実になるほど強力であり自由である。自由だからこそ自由という概念もないしうんちゃら~」と説明しています。
※はしょりましたがそもそもこう書いているにもかかわらずスパーは「キアは定義不能」としています。
インスピレーションは自由な発想から生まれ、その発想は「魂」の経験などから練られ、そしてその「魂」はキアにつながる。
つまり物を生み出すインスピレーションは「魂」だけではなくさらに「キア」からつながる知識などから発現する。
となれば現実に強力に影響を及ぼすことができるキアにつながればどんな願望も現実になる!
・・・と書いた方が理解しやすいかも。
シジルマジックは簡単だ~と言っている人は多いですが、そのスパーの難解な魔術論はけっこう理解に苦しみます。
なので亡くなったあとに議論も沢山生まれているのです。
そもそもスパーが散文的なので、理解しづらいです。
とはいえ、このキアに関するものや潜在意識から力を引き出す感覚というのは、言葉で説明はとても難しいのです。
この部分については「ケイオスマジック」のほうがより理解しやすくまとめている感じがします。
たとえで言えばとても難しいのですが、音楽を作る際、その作りたい音楽を求めているうちに突然「降って来る」というか、頭の中のモヤが晴れ、一気に求めていた曲を作れる時があります。
その感覚と同じなのです。
普通の意識的望みの先にある潜在意識からくる「トランス」状態とも言うべきものが、曲をこの世に「形」としてもたらすのです。
(だからスランプに陥るとお薬に手を出してしまう音楽家が多いのですね。手軽にトランスできますからw)
この感覚をスパーは「魔術」に応用したかったのだと思います。
でもなぜここに触れていくかというと、この部分が理解できないでシジルマジックを押すことは難しいのでは?と思います。
たしかに、比較的簡単に魔術を行えるようになってますが、それは伝える人のほとんどが「簡単に」済ませているからです。
その根本たる意識については追及しない人が多い気がします。
とはいえ、別に魔術が実現するなら、根本たる意識の追求は必要ないわけで・・・。
むむむむ・・・・(-"-)となってしまうわけですね。
実現する方法さえあれば、別にその魔術の起こりや、方法などは必要ないとなるわけで・・・。
私は調べるのが大好きですし、スパーにしてもその生涯と考え方を追求すれば、その人の考えたものと葛藤などが見えてきて面白いので追求しています。
それにいかに追及しようと、そのうちAIがもっと発達したら1発で答えを出してしまうかもしれませんし・・・。
でも、追求することで新しい進化の道筋も見えてくるわけですけど・・。
と、後半はなにやらグチになってしまいましたが、シジルマジックについてほどほど簡単に書いたと思ってます(自己満足( ゚Д゚)ですので、なにを言ってるのかわからなかったらごめんなさい)。
興味がある方は色々調べてみてください。
それではまた・・・(あまり熱を入れると延々と続くのでこの辺で・・・)。
※なお動画で少し紹介したことがありますが、このスパーのシジル制作の原理を応用というかインスパイアして制作された「シジルエンジン」というものがあります。魔術しなくても普通に面白いので興味がある方はサイトに行ってみてください(#^.^#)。紹介したブログと動画はコチラ